日本型国家資本主義の構築へ

 

 

 

再分配と徴税権の新形態確立のため、日本政府による公的資金を用いた、日本企業株式購入、保有は必要である。

ただそれだけではない、これは、新たな資本主義システム開始の好機であるとも考える。

国民国家の力の根源である徴税権のその本質的な目的は、貨幣価値の裏付けを行うことと再分配を行うことである。

 従ってその目的が満たされるならば、徴税が既存の形態つまり法人税等で行われる必要は全くない。

 私は、国家が企業の株式を保有することは十分に徴税の目的を果たすと考える。

勿論、現状の保有額では、法人税を無くすには程遠いし、そもそも、法人税を引き下げるべきだが、無くす必要があるかは不明である。

けれども、今まで、上場日本企業の株式を100兆円保有しているのである。

これを200兆円にすることは不可能ではない。

100兆円さらに日本企業の株式を購入すれば、配当性向を一定と仮定すると、大まかな計算だが、法人税率を29.74%から23.6%に6.14%削減できる。それに伴う格差の拡大も、徴税権の侵食も防ぐことも可能なのである。

 

この、新たな徴税手法の一種である、日本政府による日本企業株式取得を、日本型国家資本主義と私は定義したい。

 

資本主義システムを維持しつつ、社会主義的な生産手段の公有化を国家による株式保有にとって実現する、新しい経済システムである。

 現在、国家資本主義体制の国は、中国を筆頭に旧社会主義国に多い、中国等の国家資本主義国家は、非営利国有企業と国家組織の営利化及び営利事業の推進を特徴とする。たとえば、人民解放軍傘下の企業はトマト栽培を行い、トマト缶を製造販売している。

 

このため、中国等の国家資本主義は、既存の営利企業の株式を、国家が購入保有する、国家資本主義とは一線を画すものである。

 

そこで、私は中国の国家資主義と異なることを明確化するため、日本型国家資本主義という用語の使用を提唱したい。

 日本型国家資本主義を確立するこができれば、如何にグローバル化が進行しようとも、国家と企業はその利害を完全に共有することになる。

増税によって再分配を強化させることに必要な政治的コスト、経済的コストが大きいために、世界的に格差が拡大してきた。

しかし、日銀がETFを購入することやGPIFの日本株購入は、殆ど政治的コストがかからず、時の政権によって容易に実行できる政策である。

更なる、公的資金を用いた国家による日本企業の株式保有推進が望まれる。