起業について⑤ 世界最大のエンジェル投資

 

世界最大、史上最大のエンジェル投資について考えると、コロンブスの探検航海がある。

探検航海が起業かどうか疑問ではあるが、スペースX社に7兆円のバリューションがついている現状を踏まえれば、当時の探検航海は今の宇宙開発に相当するため、探検航海も起業であるといったよいだろう。

探検航海そのものは全く収益を生まないが、貿易と植民地経営には巨大な収益性がある。

 

コロンブスの起業家として偉大な点とは?

 

コロンブスは新たな航海技術を開発したわけでもないし、特にビジネスで成功したわけではなく、地球が丸いことは当時の常識でもあった(だからこそ国王の支援が得られたともいえるが)。

最も偉大な点は圧倒的な資金調達力である。

一回目の航海の資金は、国王と複数の民間投資家から調達し、その額はスペインの当時のGDPの0.13%に相当したという。

 

今の日本でGDPの0.13%は約7000億円を調達するのと同じ規模感である。

今の米国での3兆円の調達に相当する。

アダムニューマン氏はWeWorkで8800億円調達し、溝口勇児氏はFiNCTechnology で157億円調達した。

 

現代と比べても、いかにコロンブスの資金調達力が優秀かがわかるだろう。

 

さらに、コロンブスが豪族や貴族でもなければ大商人でもなく、一介の船乗り兼地図制作技術者であったことは特筆に値する。

 

現代米国で、一度もEXITしていない一介の飛行機操縦士兼位置情報アプリ開発者の起業家が3兆円調達することができるだろうか?

 

探検航海の結果としては、スペインは広大な植民地を獲得し、その収益を現代のGDPに直せば、数百兆円を遥かに超え、リターンとしても史上最大のエンジェル投資となったのである。